彩りの日々
「今すぐじゃなくていいからちゃんと考えて。みちがちゃんと考えて出してくれた答えなら、それでいいから。子供の勘違いなんだって、俺の気持ちなかったことにすんな」

「……、」

結局私は「大人」だとか「子供」だとか。
そんなくくりに収めようとして、自分の気持ちからもしょうちゃんの気持ちからも逃げようとしていたのかもしれない。

こんなにまっすぐに自分を見つめる真剣さをみれば、どれだけ自分を想ってくれているのか、胸を打たないはずがない。

「……わかった。ごめんね」

好きって伝えてくれるのは、物凄く勇気がいることだ。

私はずっと諦めて、このままでいいなんて言い訳をして自分の気持ちをかずくんに伝えることができなかった。


だから、今度はちゃんと言うね。

「あのね、しょうちゃん、……あの、ね……――」

私も今の気持ちをきちんとしょうちゃんに伝えたい。



唇を耳元に寄せて、そっと囁くように大切に言葉を紡ぐ。


「      」


まっすぐなしょうちゃんに返す私の本音。
一言一言大事に伝えた。


「しょうちゃんが大人になるの、私、待ってるね」


しょうちゃんはまんまるに目を見開いて、それから花が綻ぶような笑顔を見せた。

それから盛大なガッツポーズ。

「よっしゃあああああ!!!」

って大きな声を出すので、ご近所迷惑になるのではとちょっと慌てたし、その後は二人で笑ってしまった。
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