彩りの日々
わかった、任せてとは言ったものの……。

最近のしょうちゃんが私のことを避けているのは明らかだ。

扱いにくい反抗期。

さてはて、これは一体どうしたものか。


幼い頃の様にとまではいかなくとも、もう少し今よりはコミュニケーションをとる必要を感じている。

しかしどうしたら難しい年頃の男の子が心を開いてくれるのか、私には皆目見当もつかない。



「あ、……」


そんなことを考えていた帰り道。

タイミングがいいのか、悪いのか。

最寄り駅の前でばったりと私はしょうちゃんと出くわした。

私はどう声をかけていいものかわからないので、とりあえず力なくへらりとぎこちない笑いを返してみる。


しょうちゃんはふいっと目を逸らしてそのままスタスタと先に歩いて行ってしまった。

けれどここで諦めてはダメだろう。
まずはなんだっていい、会話だ。
会話が必要だ。

お互いを知るために、コミュニケーションをとる事が必要だろう。

私はかずくんから大事な弟を任されたのだ。
その使命に応える義務がある。

私にとってもしょうちゃんは弟同然でもある。

一人しょうちゃんが取り残されると聞いて自分だって力になりたい。



「待ってしょうちゃん!」


私は慌ててしょうちゃんの背中を追いかけて、横に並ぶ。

「今帰り? 一緒に帰ろうよ」

しょうちゃんは横目でジトリと私のことを睨んだけれど特に何も言わなかったので、それをいいことに私はそんな彼の態度を無視してにこやかに話しかける。

扱いにくいけれど、高校生の男の子のぶっきらぼうな態度なんて私くらいの年齢の女性からみたら可愛いものだ。
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