Forbidden Love~どうか私に鏡を下さい。
「わぁー…」

私は心が震えて、立っているだけで精一杯だった。
だって、だって…
私はついに憧れのフランスに来たんだから。
私の目の前には、今まで雑誌やテレビでしか見た事のない凱旋門がそびえている。
あぁ、なんという幸せ、なんという感動…!



少ないお給料の中からコツコツと節約して…この日をどれだけ待ち侘びていたことか。
あぁ、嬉し過ぎてどうにかなってしまいそう。



観光名所を見てまわって、美味しいものを食べて、安いツアーだから、それほど豪華なホテルではなかったけれど、そんなことはどうでも良い。
フランスにいるという事実が一番重要なんだから。



窓からは、パリの街並みが見える。
空には真ん丸な満月。
同じ月のはずなのに、日本で見る月とはどこか違って見えた。



(あぁ、最高!
私、本当にフランスに来たのね。)



窓から入るフランスの空気を、私は胸いっぱいに吸い込んだ。
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