【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 充電器とか、確実に必要な物だけでも入れておいてあげれば少しは楽だろう。

 そう思って愛良の荷物にも色々詰め始めると、丁度階段を上ってくる足音が聞こえた。


 愛良の部屋で荷物を準備していた私はドアを開けて顔を出す。
 すると丁度上って来ていた愛良と顔が合った。


「あれ? お姉ちゃん何であたしの部屋に?」

「お帰り。愛良の荷物も纏めておいた方が良いかなと思って」

「ただいま。そっか、ありがとう」


 そうして部屋に入って来た愛良はベッドにカバンを放り投げ、そのまま腰を下ろした。

「ふぅ……」

 ため息をつく愛良。
 疲れてるみたいだ。

 まあそうだよね。護ってもらったとはいえ変な連中に追いかけ回されたみたいだし。


「充電器と、洗顔、化粧水とかは入れておいたよ。いつも使ってるので良いんだよね?」

「うん、ありがとう」

 お礼を言う愛良は気の抜けた様子だ。

 疲れてるってだけじゃなく、何か考え込んでいる様にも見える。


「他にも入れるものある?」
「うん……」

 ほぼ生返事。と言うか私の言葉を聞いていない。

 本当に何か考え込んでるな。



「愛良、どうしたの? 何かあった?」

 愛良の正面に膝をついて聞く。

 愛良は目を合わせてその瞳に私の姿を映すと、困ったように小さく微笑んだ。

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