【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 そんな人達が毎日この山の中まで通うのは実際大変だろう。


 そしてまた少し進むと、大きな建物が見えてくる。

 校舎かと思ったけれど違った。


「もしかして、あれがデパートですか?」

 愛良の言葉にそうだと頷く津島先輩。

 私はそのデパートの前を通り過ぎるのを唖然として見ていた。


 まさしくデパート。パッと見ただけで五、六階はある。

 利用者がほぼ学園の生徒だからか駐車場は狭いけれど、デパートそのものはかなり大きい。


 これが学園のためだけにつくられたっていうの?
 ウソでしょう?


 何だか私の中の常識とか色々なものが崩れていく様な気がした。


「デパートまでは寮から定期バスが出てるから、それ使うと便利なんだ」

 そんな津島先輩の言葉にもまともに反応出来ない。


 何かもう、あり得ないくらい至れり尽くせりな環境……。


 チラリと愛良を見ると、純粋に「すごーい!」と喜んでいる。

「……」

 私も愛良みたいに細かいこと考えない方が良いのかも。

 わざわざ定期バスが出てたり、学園のためだけにデパートがあったり。
 経営大丈夫なの?
 なんて、私が考えることじゃないか……。

 はぁ……。
 と軽くため息をついて、私は思い悩むのを止めた。

 細かいことを考えていたら、この学園ではやっていけない様な気がした。
< 117 / 741 >

この作品をシェア

pagetop