【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。


 デパートを離れ、また大きな建物が見えて来る。

 今度こそ校舎だ。


「ここが城山学園。左側が中等部で、右側が高等部。系列の大学もあるんだけど、それはもっと奥の方に建ってる」

「へー」

 愛良と一緒に感心するような声を返した。


 校舎は何処にでもありそうな普通の学校って感じだった。

 中等部は所々赤茶の壁で、高等部は全体的に茶色の外壁。


 それにしても、大学まであるなんて初めて知った。



 車は道を右に折れ、また真っ直ぐ走る。

 高等部の校舎を過ぎると、何故かお城が見えた。


「は? お城?」

 声に出したのは私だったけれど、愛良も同じ様な事を呟いていた。

 突然現れた洋風の建物は、洋館と言うよりお城と言った方が正しいだろう。
 それ位大きい。


 何でこんな所にお城が?


 その疑問の答えを、津島先輩は言い辛そうに口にした。

「あー……。あれはな、寮なんだ」

『………………は⁉』

 私と愛良の声が、間の開け方もぴったり合ってハモった。


「うん、まあ色々思うところはあるだろうけど……間違いなく中、高等部用の寮なんだ」

「……」
「……」

 今度は二人で声も出ない。

 校舎が普通だった分ショックが大きい。


 ちょっと洋風で素敵な雰囲気。
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