【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 なんか人ではありえないくらい早く動いた様な気もするけれど、トリックがあるに決まってる。


 だから、私は田神さんが話すのを黙って待っていた。

 でも私が聞きたかった言葉を口にしたのはお母さんだ。


「それで、愛良を城山学園に転入させたいという話でしたけれど……?」

『ええぇ!?』

 私と愛良の声が重なった。
 そりゃそうだ。色んな意味で驚きなんだから。

 選ばれた特別なエリートしか入れない学園。

 愛良のどこがエリートだというのか。


 まあ、確かに可愛いし頭の出来も私よりはいいけれど……。

 でもそれだけ。

 もっと頭のいい人はいるし、人に自慢できるような特技があるわけでもない。


 一体城山学園の特別って何を基準にしてるの? 謎だ……。


 それに、9月も終わりに近い今転入の話なんて。
 何でこんな中途半端な時期に?


 謎だらけだ。


「何で? どうして?」
「どういう理由でそんなことになってるの?」

 二人で驚いていると、今度はお母さんが軽く驚く。

「え? さっき外で話をしていたんじゃないの? なかなか家に入ってこないと思ったら集まっていたから、てっきり話し込んでいたんだと……」

 いや、寧ろまともな話なんて全くしてなかったんだけど……。


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