【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「え? だってそれは身内びいきのお世辞でしょ?」


 嬉しいけれど、本気になんて出来るわけ無いじゃない。

 と思ったのに。

「お世辞じゃないっていつも言ってるでしょ!!」

 若干キレ気味に叫ばれてしまった。


 いつもなら呆れた様なため息をされて終わりな話だから、こんな風になる愛良は初めてだ。

 何て言葉を返そうか迷っていると、浪岡君が口を開いた。

「こんなに(かたく)なになってるなんて……。何か理由でもあるんですか?」


 ……理由って言われても……。


「理由なんて、小学生の時初恋の男子にそう言われたからってだけよ?」

 私が――が答える前に愛良が話してしまう。


「確かにそうだけど、実際その通りじゃない」

 あの男子が言った様に、私の髪はうねってるし、眠そうな目をしてる。

 自分が他人からどう見られているか気付くキッカケになった出来事だ。


 なのに愛良は重いため息を吐くと、キッと(にら)む様にあたしを見る。



「いい、お姉ちゃん? 良い機会だから全部言うよ?」

 そう前置きした愛良は一気に話し始めた。


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