【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 そう返事をしてクローゼットに備え付けてある姿見で身だしなみを確認する。
 ぱっと見寝ぐせはないし、制服もファスナーを閉め忘れたということもない。

 クルリと回って後ろ姿を見て、スカートが(めく)れていないことも確認する。

「よし、OK」
 そう呟いて私は鞄を持ちドアを開けた。

「おはよう愛良、お待たせ」

 ドアを開けてすぐに朝の挨拶をする。
 家にいた時は身だしなみを整える時点で顔を合わせていたので、なんだか少し変な感じ。
 でも慣れていくんだろうな。


「おはよう、お姉ちゃん」
 愛良からも挨拶を返してもらって、二人で歩き始めた。

「寮の朝ごはん食べるの始めてだねー」
「うん、今朝はどんなメニューなのかな?」
 お互い転入初日で学園のことも気掛かりではあったけれど、まずは朝食の話題になった。

 寝坊したり食べない生徒もいるから、寮の食堂で土日の朝食はやらない事になっているらしい。
 土日に朝食が欲しければ、上原さんの所で簡単なサンドイッチかおにぎりをもらえる。
 昨日と一昨日は私達も上原さんの所でもらって食べた。

 だから食堂での朝食は初めてなんだ。


 和食か洋食かはその日その日で変わるらしいから今日はどっちなんだろうねぇ、と会話しながら歩いていると前の方から声をかけられた。

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