【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 焦げ茶色の髪をショートボブにしている溌剌(はつらつ)とした女性教師だ。

 教師にも吸血鬼とハンターがいるらしく、三橋先生はハンター側の先生だそうだ。

「学園に吸血鬼でもハンターでもない人間が通うのは初めての事だから、不都合な事も出てくると思うわ。そんな時は遠慮なく私に言って頂戴ね」

 そう言って頼もしい笑みを向けてくれる三橋先生に、私はホッとする。
 肩の力が少し抜けたような感覚に、私は自分で思ってた以上に緊張していた事に気付いた。


「ありがとうございます。これからよろしくお願いします」

 そんな無難な挨拶しか出来なかったけれど、顔は自然な笑みを浮かべることが出来た。



 教室は2ーA。
 廊下で待っていて、三橋先生に呼ばれてから教室に入っていく。

 促されるまま名前を言って、よろしくお願いしますと締めくくる。
 挨拶が終わってひとまずホッとして、改めて教室内を軽く見回した。


「……っ!」
 そして思わず息を詰まらせる。

 みんなが私を見ているのは良い。
 転入生なんて珍しいのだから、全員が見ているのは分かる。
 問題は、その目と表情。

 品定めしているような目。
 獲物を狙うような目。
 他にも、何とも言えない感情が乗せられた視線が私に向けられている。


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