【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 教室の出入り口の所で室内を見渡していた嘉輪が、すぐに目的の人物に気付き片手を上げてその幼馴染の名前を呼んだ。

「あ、正輝(まさき)!」

 その名前を聞いて私は少し驚く。
 幼馴染としか聞いていなかったから女子だと思い込んでいた。

 そっか、男子って事もあり得たんだなぁ。
 ウッカリウッカリ。

 なんて思いながら呼ばれた正輝くんとやらが来るのを待った。


「嘉輪、どうした?」
 そう言って近付いて来た男子はかなり背の高い人だった。180㎝は確実にあるだろう。
 綺麗な茶髪はもしかしたら染めているわけではなくて地毛なのかもしれない。
 鼻は高めで、少し彫りも深い。
 ハーフっぽいイケメンだ。

 でも何だろう。
 見た目はカッコイイと文句なく言えるのに、何故かカッコイイと言うより可愛いと言ってしまいたくなる様な雰囲気を持っている男子だった。


「ちょっと紹介しておきたかったからさ。ほら、彼女が今日転入して来た香月 聖良」
 そう言った嘉輪が今度は私に向き直る。

「で、このおっきいワンコが私の幼馴染の佐久間(さくま) 正輝(まさき)
「おっきいワンコって言うな!」
 すかさず非難の声を上げた佐久間くんだけど、言われ慣れているのか本気で怒っている様には見えなかった。

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