【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 それに、おっきいワンコって何だか的を射ている気がするし……。
 大きくてカッコイイけど可愛い雰囲気。まさに大型犬って感じだ。


「えっと、香月姉妹の姉の方だよな。はじめまして、聖良さん」
「あ、はじめまして。佐久間くん」
「正輝で良いよ。俺も名前で呼ぶし」
「わかった、じゃあ正輝くんで」

 良いとは言われたけど、やっぱりいきなり呼び捨てはちょっと抵抗があった。

 嘉輪は同性だし、彼女からの無言の圧力があったから呼び捨てにしたけれど。


「聖良は狙われやすいと思うし、信頼出来る味方が多い方が良いと思ってね」
「そうだな。吸血鬼の“花嫁”なんて、どっちつかずの存在だからな」
「あ、あの!」

 二人の会話に疑問を覚えたので思い切って割り込んでみた。

「私が狙われやすいってどういうこと? それに吸血鬼の“花嫁”ってのは愛良の事でしょう?」

 私の質問に二人して目をパチクリさせている。
 そして呆れたような眼差しを二人分向けられた。


「……あの人たち、ちゃんと説明したのかしら?」
「さあ、でも本人が信じられないってだけかもしれないよ?」

 何を言っているのかよく分からないけれど、二人はそう言った後ちゃんと説明してくれた。

「確かに“花嫁”はあなたの妹の愛良ちゃんよ」
「でも聖良さんも同じく“花嫁”として見られているんだ」


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