【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 恋愛感情的なものは感じないから、流石幼馴染ってことなんだろう。


「説明が難しいんだけど……。吸血鬼の“花嫁”って立場が特殊なのよ」

「吸血鬼から見れば力の(もと)とも言える存在で、守るけれど自分のものにしたいと狙っているのがほとんど。で、人間のハンターから見ればそんな風に狙われてる一般人。だから守らないといけないけど、そこまで狙われる理由が“花嫁”だからじゃあ良く分からない。と言ったところかな」

「へー……」

 吸血鬼側の話は思っていたのとそこまで変わりはない。
 でも人間のハンターの話は初めて聞いたから何というか新鮮な気分だ。


「特にハンター側は、理解度が人それぞれでバラバラなのよ」
「そう、まとまりがないって言うか……」
「だからそこでVH生ってわけ」

 さっきから嘉輪と正輝くん、交互に話してる。
 息ピッタリだな。
 幼馴染って言うより、姉弟(きょうだい)とか双子って感じ。


「……ねえ、ちゃんと聞いてる?」

 ちょっと別のことを考えていたら嘉輪にジト目で見られた。


「き、聞いてるよ!」

 うん、ちゃんと聞いてたよ。
 違うことも考えちゃってたけど。

「……まあ、良いわ。それでVH生の事ね」
「VH生は吸血鬼でありながらハンターの仕事を目指している生徒だ」

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