【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

温泉と友達

「温泉〜ポカポカ温泉〜」

 つい歌い出してしまうほど喜んでいる私に、隣を歩く愛良は完全に引いていた。

 でも私はそんな事も気にならないほど浮かれている。
 このままスキップもしたい気分だ。

 だって念願の温泉に入れるんだよ?

 しかも一度はダメって言われていた温泉に!

 ホント、嘉輪と友達になれて良かったー。


 私と愛良は反省会の後夕飯と雑用を済ませ、約束の十分前くらいに部屋を出た。

 ちょっと早いかなって思ったけれど、念願の温泉に入れると思うと待ちきれなかった。


 エレベーターの近くまで来て、その近くにある嘉輪の部屋のドアをノックする。

 すぐに「はーい」と声が聞こえ、ドアが開けられた。


「ごめんね、今準備してたところなの。すぐ出来るからちょっと待ってて」

 嘉輪はそう言うとまたパタンとドアを閉める。

 閉まったドアを見ていると、隣から「ほらね」と愛良の声が聞こえた。


「だから早いんじゃない? って言ったでしょ?」

「……」

 私はそれには答えなかった。


 うん、分かってはいたよ?

 でも待ちきれなかったんだもん。


 少し待って、またドアが開き嘉輪が「お待たせ」と言って出てきた。

「ごめんね? 急かしちゃって」

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