【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「いちいち騒がしいんだよね。まあ、根はいい子だから仲良くは出来ると思うけど……。あんまりうるさかったら(はた)いていいからね、愛良ちゃん」

「え? ええっと……はい」

 友達になろうという相手をそんな気軽に叩いていいものなんだろうか。

 愛良は戸惑いつつも、一応了解の返事をした。



 そんな話をしているとその鏡さんが来たらしい。


「あ、こっちこっち!」

 そう言って手を挙げた嘉輪の見た方を向くと、茶髪をツインテールにした元気そうな女の子がいた。

 その子はこちらに気付くとパァっと笑顔になって小走りで近付いてくる。


「嘉輪先輩! お声がけありがとうございます!」

 初っ端から声が大きい。

 表情を見ればテンションが上がってるのは分かるから、今だけという可能性もあるけど。


「で、こちらが香月姉妹ですか⁉ わぁ! 二人ともかわいい! 癒し系美少女とアイドル系美少女! どちらが愛良ちゃん⁉」

「え、えっと……あたし、だけど……」

 戸惑いながらも名乗り出た愛良の手を両手でギュッと握る鏡さん。


「ホントだー。確かに花嫁の気配はあなたが強いね! でも不思議。ほとんど変わりないように感じる」

 キョトンとした顔になり首を傾げる。

 そうなってやっと声の大きさが抑えられた。


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