【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「温泉!」

 その言葉にすぐさま反応したのは当然私。

 待ちに待った温泉だ。


 あからさまな喜色に満ちた声を出したせいか三人とも軽く驚いている。

 愛良はすぐにジトっとした目になったけれど。


「あはは、私温泉好きでさ。でも信用できる人と一緒じゃないと入っちゃダメって言われてたから……」

 主に鏡さん――瑠希ちゃんに説明するためにそう話す。

「ああ……そうですね。それは必要です」

 てっきり一緒になってそれは残念ですねと言ってくれるものだと思ってたけど、瑠希ちゃんはむしろ納得の表情。
 吸血鬼側の認識ではやっぱりお風呂の中でも護衛役は必要ってことなのかな?


 認識の違いに少し戸惑ったけれど、何はともあれ温泉だ。

 やっと入れるんだから楽しく行きたい。


「まあ、じゃあ行こうか」

 嘉輪に促され、私達は地下へと降りた。



 エレベーターでも降りれるけれど、一階分だけなので階段で降りる。

 階段を下りた先には自動販売機や給水器があり、軽く休憩出来るように長椅子が置いてあった。

 自動販売機には牛乳瓶もあって、私は温泉上りは絶対コレだなとチェックしておく。


 その休憩所を挟んで、左側が男湯。右側が女湯だった。

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