【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 その日、いつものように嘉輪と一緒に帰ろうとしていたところ。

「あ、波多さん。文化祭のことで相談があるんだけど」

 クラスメイトに声を掛けられ、嘉輪が一緒に帰れないことになった。


「時間かかるかもしれないし、待っててもらうわけにはいかないか……。あ、そうだ。石井くんについててもらえば……」

 そう言った嘉輪は教室を見回す。

 私も一緒になって見てみたけれど、石井くんの姿はなかった。


「あ、石井くんならさっき先生に何か頼まれたみたいでどっか行っちゃったよ?」

 嘉輪に声をかけた子がそう教えてくれた。


「え? どうしよう……」

 困っている嘉輪だったけれど、仕方ないことだと思う。

 何だかんだで登下校も授業中も誰かしら守ってくれる人が近くにいる状態だったから、たまにはこんなこともあるだろうって。


「仕方ないよ。それにあとは寮に帰るだけなんだからそんなに心配することもないでしょう?」

 だから大丈夫だと嘉輪に伝える。

 でも嘉輪は簡単には引き下がらなかった。


「そうやって軽く考えちゃダメだって言ってるでしょう? ちゃんと自衛出来るように意識を変えて頂戴!」

「ま、まあまあ。波多さん、落ち着いて」

 頑固な嘉輪に私達のやり取りを見守っていた子が間に入った。

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