【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「あ……」
その赤いものは、血……なんだろう。
現実逃避したかったけれど、チラリと見えた女子生徒の首筋が赤く濡れていた。
吸血鬼。
話で聞いて、理解していたつもりだったけれど……それでもどこか信じられない気持ちがあった。
でも、これは……。
こんな、まさに吸血の瞬間を見てしまっては、信じざるを得ない。
男子生徒は私を見ると切れ長な目を細めて「へぇ」と楽しそうに笑う。
そして一度女子生徒に向き直り首元の血を舐めとると、彼女を離しこちらを向いた。
「あっ……」
支えを失った女子生徒はそのままくず折れるように床に伏してしまう。
助け起こしたかったけれど、すぐ近くにいる男子生徒が危険人物であることは嫌でも分かる。
不用意に近付くことが出来なかった。
「この気配……お前、“花嫁”だな? 高等部の制服着てるってことは姉の方か」
男子生徒は楽しそうにそう言いながら私に近付いてこようとする。
でも、まだ意識があったらしい女子生徒にズボンの裾を掴まれ足を止めた。
「“花嫁”?……ダメ、岸くん。その子の……血は、吸っちゃ……」
「何だかんだ言ってもH生ってことか? でもな、最初にこいつに助けを求めたのはお前だぜぇ?」
苦し気に話す彼女にも楽しそうに笑い、非難する。
その赤いものは、血……なんだろう。
現実逃避したかったけれど、チラリと見えた女子生徒の首筋が赤く濡れていた。
吸血鬼。
話で聞いて、理解していたつもりだったけれど……それでもどこか信じられない気持ちがあった。
でも、これは……。
こんな、まさに吸血の瞬間を見てしまっては、信じざるを得ない。
男子生徒は私を見ると切れ長な目を細めて「へぇ」と楽しそうに笑う。
そして一度女子生徒に向き直り首元の血を舐めとると、彼女を離しこちらを向いた。
「あっ……」
支えを失った女子生徒はそのままくず折れるように床に伏してしまう。
助け起こしたかったけれど、すぐ近くにいる男子生徒が危険人物であることは嫌でも分かる。
不用意に近付くことが出来なかった。
「この気配……お前、“花嫁”だな? 高等部の制服着てるってことは姉の方か」
男子生徒は楽しそうにそう言いながら私に近付いてこようとする。
でも、まだ意識があったらしい女子生徒にズボンの裾を掴まれ足を止めた。
「“花嫁”?……ダメ、岸くん。その子の……血は、吸っちゃ……」
「何だかんだ言ってもH生ってことか? でもな、最初にこいつに助けを求めたのはお前だぜぇ?」
苦し気に話す彼女にも楽しそうに笑い、非難する。