【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「聖良先輩⁉」

 その時、嘉輪達より少し遅れて俊くんと津島先輩が駆け込んできた。

 二人も来てくれたんだ。

 私はそうホッとしたけれど……。


「っあんた達遅いのよ!!」

 泣きそうだった嘉輪が、激高(げっこう)した。

「聖良はあんた達を頼って行ったよ? なのに何であんた達が守ってなかったの⁉」

「っ!」
「そ、れは……」

 強く非難された二人は言葉に詰まる。

 私は慌ててしまった。


「ちがっ、二人は悪くないよ」

 私が大人しく俊くんを待っていれば良かっただけなんだ。

 それに津島先輩に関しては彼の教室にすら行っていない。
 それで守ってほしいとか無理な話だ。

 そう伝えたんだけれど。


「そんなの関係ないわ。吸血鬼はね、あなたと愛良ちゃんの気配は学区内程度の距離なら分かるのよ。それくらい、あなた達の血の力は凄いの」

 だから、私が三階や一階の三年の教室付近にいたことは分かっていたはずだ、と。


「それなのに、様子を見に行くことすらしないなんて……」

 そう言って嘉輪は二人を睨みつけていた。

 俊くんと津島先輩は何も言わない。

 きっとちゃんと理由があるんだろうけれど、この状況だと何を言っても言い訳にしか聞こえなくなっちゃうだろうから。


「とにかく、聖良さんを保健室に連れて行こう」

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