【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「本当の“花嫁”である愛良さんには劣ると言われているけれど、あなたの血も愛良さんに匹敵するほど強い力と魅力があるの。あなたが咬まれて血を流した瞬間、学園中の吸血鬼がその魅惑の気配に気付いたわ」

「……え?」

 話していることは何となく分かるのに、意味が理解出来ない。

 理解が追いつかない。


 学園中の吸血鬼が、その魅惑の気配に気付いた……。


 気配とか、良く分からない。

 そんな曖昧なことを言われても、理解出来るわけがない。


 でも、高峰先生の目は冗談を言っているようには到底思えなくて……。

 田神先生や、他の皆。

 嘉輪までも沈痛な表情をしている。


 理解は出来なくても、そういうものだと納得しなければならないことなんだと分かった。



 私と愛良の血が、吸血鬼達には御馳走に見えるってこと。

 魅了されるほどに、惹きつけられるものだということを。



 そして、その気配を学園中の吸血鬼達が今日知ってしまった。

 知らなければ良かった。

 知らなければ、そういう気配はするけれど狙ってはいけないものだと理性が抑えられる。


 でも、もう知ってしまったんだ。


 理性では抑えられない吸血鬼も増えてくる。



 ……そういうことなんだろう。


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