【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 洗い物をしていたお母さんが愚痴っぽく言って玄関に向かう。

 私はお隣さんとかかなぁ、と思って気にも留めずに食器を片付け学校へ行く準備を始めた。
 愛良も食べ終えて食器を片付けていると――。

「聖良ー、愛良ー。お客さんよー」
 というお母さんの声が玄関から届いた。

 こんな朝っぱらから私達に用事のある客って誰だろう?

 疑問に思って私は愛良と顔を見合わせる。

 お互いに首を傾げつつも、あまり時間もないので鞄を持って玄関に向かった。



「げっ」

 玄関に立っていた人物を見て、私は思わず頬を引きつらせる。

 何で朝から嫌な奴の顔を拝まなくちゃならないのか。
 どんなにイケメンでもその性格で美男子度は確実に減っていると思う。


 というか、何で赤井がここにいるんだろう?


 赤井も私の顔を見てあからさまに顔をしかめていた。

 嫌な奴の顔をこれ以上見ていたくなくて、私は隣にいたもう一人の男の子に視線を移す。
 そう、来客はもう一人いたんだ。

 赤井よりも頭一つ分低い身長の男子。
 顔立ちは、今まさに子供と大人の間の様な中性的なつくりをしている。
 焦げ茶色の髪をすっきりとショートにしていて、人好きするような微笑みを浮かべていた。
 見た目から何となく年下だと思う。

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