【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
《まあ、それはそうかもだけど……》

 と、一応同意する言葉を送っておく。


 まいったな……OKしてくれるものばかりと思っていたから嘉輪には大見得切ったのに。


《でも部外者って言ったら浪岡君と俊君も部外者なんだけど。連れて行かなくていいの?》

 嘉輪だけ部外者扱いはどうよ、と思っての言葉だった。

 でもきっと、浪岡君と俊君は別! とか言い出しちゃうのかな。って思っていたのに……。


《あー、そうだよね。やっぱりあの二人も無理かなぁ?》

「え?」

 数週間前のあの熱の入れようはどこに行ったのか。

 その文体には、俊君を好みだと言ってはしゃいでいた姿を感じることが出来なかった。


《あ、いや。護衛は必要ってことであの二人は確実に来てもらえることになってるけど……?》

《そっかぁ! 良かった》

 そうして、詳しい日時が決まったらまた連絡するとなってメッセージのやり取りを終えた。


「……」

 なにか、ちょっと引っかかる。


 浪岡君と俊君は行ける、と伝えた後の“良かった”という言葉。

 顔文字も絵文字もつかない。
 ついでに言うと追加のスタンプもない。

 そんな装飾のない“良かった”という文字が、本当に文面通りのものなのか疑問に思った。


 とは言え本当に僅かな引っかかり。

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