【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「良いと思うんですけど、満月だからっていうのは何ですか? 何か関係があるんですか?」

 田神先生の言葉で気になったんだろう。

 愛良が疑問を口にした。


「吸血鬼はね、月の力でなんて言うか……パワーアップするんだよ。人それぞれで、満月じゃなくても新月の夜や半月の夜。十六夜の夜って人もいたかな?」

「パワーアップ……?」

「大体生まれた日の月がそうなる。とにかくそんな中でも満月の夜って人が多いんだ。愛良さん達を狙うのも吸血鬼だから同じ条件ではあるんだけど、やはりパワーアップしている日の方が何かと安心出来ると判断した」

「そうですか……」


 愛良は良く分からないといった顔で一応納得する。

 私も聞いていて良く分からなかった。

 大体パワーアップって何?って感じ。


 まあそれでも私達は守って貰う立場だし、その日の方が守りやすいと言うなら従うまでだ。

 あまりわがままは言いたくないしね。


 その日のうちに有香達にも連絡をして《その日で良いよ》と返事をもらえた。

 愛良もOKだったらしくて、これで日程は決まる。


 純粋に楽しみだなって思っていたけれど、まさかその日が怒涛(どとう)の一日になるとは思いもしなかった。

***

 その日は朝の九時に寮を出た。

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