【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 でも、それを全て聞いている時間はない。
 もういつもなら家を出て学校に向かっている時間だ。

 このままじゃ遅刻しちゃうよ。


 とにかく家を出ようか、と声を上げようとするとお母さんが先に話し出した。


「色々聞きたい事はあるけれど、貴方達はこの子達が城山学園に転入するまで守ってくれるって事なのね?」

「はい。僕達は学園を休む事になりますが、水、木、金の三日間だけなのでなんとかなります。愛良さん達の学校の方にも迷惑は掛けないようにしますから……」

 何とか了承してくれないかと浪岡君は言葉を濁す。

 そんな不安気な浪岡君に、お母さんは「分かったわ」と簡潔に答えた。

「守ってくれるというなら断る理由はないもの。この子達のことよろしくお願いするわね」

 そう言うと、お母さんは早々と私達を送り出した。


 なんか、追い出す様な感じにも見えるんだけど……。


 浪岡君の話を全て納得したわけじゃなさそうだし……。

 朝から忙しいとか言ってたし、やる事が沢山あってイライラしてたのかな?


 そう考えると無理もないか、と思う。

 私達の転校が急に決まったんだ。
 しかも今週末と言うあり得ない早さで。

 色んな手続きとか手配とか、沢山あるんだろう。


 家を出た私達は、このままだと遅刻するので急ごうと早足で歩きだした。

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