【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「うん、了解。分かってるとは思うけど、それぞれ零士達や俊達からはぐれない様にな。常に二人の護衛どっちかと一緒にいること」

「はい」
「分かってますよ」

 何度も言われた言葉だけれど、素直に返事をする愛良と私。


 当初の予定通り私には俊君と浪岡君が、愛良には零士と石井君が護衛に付くことになっている。

 二人の護衛が、一緒に遊びながらとはいえずっと付いてるんだ。

 もし何かあったとしても大丈夫なんじゃないかな?


 岸に襲われたのだって護衛と離れていたせいだったし。

 だから安全だろうと考えていた。



 待ち合わせの駅前に車を止めてもらい、降りると運転席の窓が開き菅野さんが顔を出す。

「では、皆様お気をつけて」

 優しく微笑みながらも、僅かな心配を込めて言われ「はい、ありがとうございました」と返した。


 菅野さんの微笑みや柔らかな声音にはつい魅せられてしまう。

 おじいさんと言える年齢なのに、男性として素敵だなってやっぱり思ってしまった。

 ある意味あの年齢だから出せる色気みたいなものなんだろうか。


「菅野さんの奥さんって幸せだろうな……」

 なんて、愛良まで呟いていた。


 菅野さんはそのまま車を停められる別の場所で待機するらしい。

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