【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 そして数分も経たないうちに赤井が仏頂面のまま口を開く。

「ったく、めんどくせぇ……。お前が昨日しゃしゃり出て来なければこんなことしなくて済んだのによ」

 そう言って私を睨む。


 ムカッ!
 何? 私が悪いって言いたいわけ?


「しゃしゃり出たくもなるでしょう? あんた達強引に話を進めるんだもん。大体そっちが勝手に来たんでしょ? こっちは護衛なんて頼んで無いんだけど!!」

 唾が飛びそうなくらいの勢いで私は一気に言った。

 本当に唾が飛んでもかまうもんか。
 むしろかかってしまえ、この性悪!


 大体護衛なんて本当に必要なんだろうか?
 だって、学校行って帰ってくるだけだよ?

 それに城山学園の生徒が狙われるっていうなら、私達より赤井達の方が狙われるんじゃないの?

 怒りを露わにして赤井を睨み返しながらそんなことを考えていると、浪岡君が私達をなだめた。


「まあまあ、二人とも落ち着いて下さい。零士先輩は往生際が悪いですよ」

 癒される様な笑顔を浮かべつつも赤井をたしなめる。


「ついでとは言え聖良先輩も愛良さん同様特別な人です。大体もう決まった事なのにグダグダと……女々しいですよ?」

 可愛い笑顔のまま結構辛辣(しんらつ)な事を言う。


 ……あれ? 浪岡君、もしかして中身は黒い?


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