【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「ごめんね愛良。明日から別の場所で待ち合せようか?」

 そう提案すると、愛良は「え?」と目を丸くした。

「何で? そんな必要ないよ。今の人のことだったら、全然気にしてないもん」

 そう言った顔は本当に気にしてないみたいだった。

「そっか」

 でも返事をした私の顔は納得していないように見えたのか、愛良は「本当だって」と続ける。


「やっぱり周りの人はあんな風に思ってるのかなぁ?ってちょっと悲しくなっただけ。姉妹で仲良いのは良いことでしょ?」

 最後を冗談めいて笑った愛良につられて私も笑った。

「そうだね。じゃ、さっさと帰ろうか?」
「うん」

 そうして私達は帰路についた。


 こんな風に私のことも気遣ってくれる姉思いの妹、大好きになるに決まってる!

 家までの道のりは徒歩で約20分。

 私達は途中でコンビニに寄って買ったアイスを食べながら他愛もない話をして歩いていた。


「県大会に行けなくて残念だったねー。一勝は出来たのに」

「まあ、そうだけど。でもおかげで毎日お姉ちゃんを待たせなくて済むようになったからそれはそれでいいよ」

 私は帰宅部だけれど、部活動強制の中学では愛良はバレー部に入っている。
 ちなみに私も中学ではバレー部だった。


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