【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
月夜の闘争
「忍野君? 何で?」
私の呟きは冷たい風に消され、誰にも届くことはなかった。
代わりに、岸が不機嫌に反応する。
「なんだぁ? てめぇは」
「お、お前、香月を離せよ!」
忍野君は怖がりながらもそう言って近付いて来た。
「こいつは俺のだ。離すわけねぇだろ? で? お前何なの?」
「お、俺は香月の同級生で……」
「で?」
「……いや、それだけだけど……」
「あっそ、じゃあ関係ねぇよな」
そう会話を交わすと、岸は興味を失ったように忍野君を無視して歩き出した。
「あ、ちょっと」
強引に引かれて少し足がもつれる。
「ま、待てよ! っくそ!」
そう叫んだ忍野君を私は腕を引かれながらも振り返るような格好で見ていた。
すると悪態をついた彼はポケットから何かを取り出し、一瞬の躊躇いを見せた後何かのドリンクらしいそれを飲み干した。
忍野君の喉ぼとけが嚥下した証に上下する。
そうして改めてこちらを向いたと思ったら――。
次の瞬間には忍野君の姿は消えていた。
「え?」
「香月を離せよ」
聞こえてきたのはすぐ近く。
見ると、忍野君は私と岸の間辺りに立ち岸の腕を掴んでいた。
「な、んで……?」
状況が理解できない。
どうして忍野君が……。
普通の人間のはずの忍野君が……。
私の呟きは冷たい風に消され、誰にも届くことはなかった。
代わりに、岸が不機嫌に反応する。
「なんだぁ? てめぇは」
「お、お前、香月を離せよ!」
忍野君は怖がりながらもそう言って近付いて来た。
「こいつは俺のだ。離すわけねぇだろ? で? お前何なの?」
「お、俺は香月の同級生で……」
「で?」
「……いや、それだけだけど……」
「あっそ、じゃあ関係ねぇよな」
そう会話を交わすと、岸は興味を失ったように忍野君を無視して歩き出した。
「あ、ちょっと」
強引に引かれて少し足がもつれる。
「ま、待てよ! っくそ!」
そう叫んだ忍野君を私は腕を引かれながらも振り返るような格好で見ていた。
すると悪態をついた彼はポケットから何かを取り出し、一瞬の躊躇いを見せた後何かのドリンクらしいそれを飲み干した。
忍野君の喉ぼとけが嚥下した証に上下する。
そうして改めてこちらを向いたと思ったら――。
次の瞬間には忍野君の姿は消えていた。
「え?」
「香月を離せよ」
聞こえてきたのはすぐ近く。
見ると、忍野君は私と岸の間辺りに立ち岸の腕を掴んでいた。
「な、んで……?」
状況が理解できない。
どうして忍野君が……。
普通の人間のはずの忍野君が……。