【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
そう前置きした愛良。
でも、もうみんな分かっていた。
“花嫁”の愛良が誰を選んだのか、なんて。
「あたしは零士先輩が好きです。あたしは、零士先輩と婚約します」
迷いなくハッキリと言った愛良の言葉を噛みしめるように私は一度瞼を伏せた。
思えば、初めて会った時から零士が気に入らなかったのは、こうなる予感があったからかもしれない。
私から愛良を奪っていく男。
そんな予感があって、ずっと認められなかった。
でも、零士は呆れるくらい愛良一筋だし、何より愛良が自分で決めた相手だ。
ハッキリと愛良の気持ちを聞いてしまったからには、認めるしかない。
私はツカツカと二人の前に行き、ビシッと零士を指差した。
「絶対、何が何でも、愛良を守ってよね」
そう言って睨み上げた私に、零士は驚いた表情をする。
いつもならここから「お前に言われなくても」、とケンカになるところだけれど、私の真剣な気持ちに気付いたんだろう。
ケンカ腰じゃなく、素直に私の言葉を受け止めた。
「ああ、もちろんだ」
その返事を聞けて満足した私は、くるりと振り返って座っていた椅子に戻る。
その時、石井君の顔が見えた。
うん、そういう顔になっちゃうよね……。
愛良の気持ちを尊重して、祝福しようとしてるんだろう。
でも、もうみんな分かっていた。
“花嫁”の愛良が誰を選んだのか、なんて。
「あたしは零士先輩が好きです。あたしは、零士先輩と婚約します」
迷いなくハッキリと言った愛良の言葉を噛みしめるように私は一度瞼を伏せた。
思えば、初めて会った時から零士が気に入らなかったのは、こうなる予感があったからかもしれない。
私から愛良を奪っていく男。
そんな予感があって、ずっと認められなかった。
でも、零士は呆れるくらい愛良一筋だし、何より愛良が自分で決めた相手だ。
ハッキリと愛良の気持ちを聞いてしまったからには、認めるしかない。
私はツカツカと二人の前に行き、ビシッと零士を指差した。
「絶対、何が何でも、愛良を守ってよね」
そう言って睨み上げた私に、零士は驚いた表情をする。
いつもならここから「お前に言われなくても」、とケンカになるところだけれど、私の真剣な気持ちに気付いたんだろう。
ケンカ腰じゃなく、素直に私の言葉を受け止めた。
「ああ、もちろんだ」
その返事を聞けて満足した私は、くるりと振り返って座っていた椅子に戻る。
その時、石井君の顔が見えた。
うん、そういう顔になっちゃうよね……。
愛良の気持ちを尊重して、祝福しようとしてるんだろう。