【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「……香月に、その方法を使うのを止めたら……香月の“花嫁”の気配が倍増したんだ」

「……ばい、ぞう?」

「そうだ、倍増して強くなった」

 一番伝えづらかったことを口に出してしまったみたいで、その後はまくし立てるように言葉を放つ。


「俺、ちょっとパニックになって……それでとりあえずまた方法を試した。そしたらまた気配は消えたけど、効果がなくなればまた倍増して……完全にいたちごっこになってしまったんだ」

 方法を試すのを止めてしまえばいいのか迷って、結局そのまま続けてしまったんだと。


「じゃあ、聖良ちゃんが愛良ちゃんに匹敵するくらい血の力が強いのって……」

 驚きを含んだ津島先輩の声に、忍野君はコクリと頷いた。

「ええ、完全に俺のせいです」


「……」

 私は、何と言って良いのか分からなかった。


 岸から助けようとしてくれたとき、忍野君は私が()()なったのは自分のせいだと言った。

 それは愛良と同程度の“花嫁”の血を持つようになってしまったってことを言っていたんだ。


 まずはそれを理解して、考える。

 私は、それを怒るべきなのかな?


 確かにこうならなければ岸に目を付けられることも、危険な目に遭うこともなかったし、何よりこの学園に転校することもなかった。

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