【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「詳しくは教えられないけど、自分の血を使って蒸留したり抽出したりって色んな手間かけて出来る飴なんだ。それを定期的に口にすることで、俺達忍野の一族は人間として暮らしてる」

「……ん?」


 ちょっと待って?

 今、何か聞き捨てならない言葉が聞こえたような……。


「……ねえ、今、自分の血を使ってって言った?」

「ん? ああ」

 そう答えた後、忍野君は私が何を気にしているか気付いたんだろう。

 慌てて言い募った。


「あ! でも本当に色んな過程があるから、本来の血とは全く別のものになってるし!」

「そういう問題じゃないでしょうがぁ!」

 思わず叫んでしまった。

 いくら全く別物になってるとは言え元は血だったものを人の口に入れるようなことするとか……。

「なんてもの食べさせてくれるのよぉ……」

 吐き出したいけれど今更過ぎるし、もうどうしようもない。


「えっと、ご、ごめんな?」

 血の力が増えた事よりも原料が血だったことを怒られるとは思っていなかったんだろう。

 今更過ぎる謝罪に私は思わず忍野君をキッと睨んだ。


 でも、それ以上文句を言う前に田神先生が口をはさむ。


「まあ、そういう事なので……話を戻すぞ?」


 話を戻す?


 血が原料だっていう飴を食べさせられた。

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