【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「その……自覚したのは最近なんだけどさ、俺……香月のこと好き、みたいで……」

「え?」

「だから、婚約者候補に入るって知った時はむしろ嬉しいって思ったくらいで……」

 乙女の様に頬を染めながら視線をさ迷わせる忍野君。

 私は突然の告白に「え?」としか返せない。


 何とか告白されたんだと理解して息を呑むと、今度は俊君が声を上げる。

「忍野先輩、抜け駆けですよ? 聖良先輩、この際だから俺もちゃんと伝えておきますね? 俺も、聖良先輩のこと女性として好きですから」

 こちらにも「え?」としか返せない。


 すると浪岡君まで――。

「俊先輩だって抜け駆けです! 聖良先輩、僕の気持ちも受け取ってください。僕だって、あなたが好きなんです」

「……え?」

 もうあたしは“え”の一文字しか言えなくなってしまったんだろうか。

 それくらい他の言葉が出てこない。


 えっと……どうすれば……。


 助けを求めるように視線を他に向けると、津島先輩と目が合った。

「あ、俺はどっちでもいいぜ? 聖良ちゃん可愛いから婚約者なっても良いし、無理なら無理でもそこまでショックは受けねぇから」

 と、婚約者候補としての意見を口にしたので、同じ立場の石井君まで意見を言い始める。


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