【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 って思ったら。


「それに試しに指輪にしたやつもいたんだけれど、一度つけたらどうやっても外れなくなったと聞いた。相手の人間は呪いみたいだねとか言って笑ってたらしいが……」

「呪いって……」

 呟いて、言葉が続かない。


 でも物理的に外れないようにするにしても、その呪いみたいなことになったとしても、外れないことには変わりないってことか……。


 微妙な気分ではあったけれど、愛良の心配は解消されたってことになるのかな?


 と思って表情を伺ってみると、愛良は安堵したという表情。

 呪いとか物騒な単語が出てきてもそこは構わないみたい。


 愛良って結構図太い性格してるよね……。


 そんな感想を覚えながらも、本人がそれでいいなら私が色々言う事じゃないと口をつぐんだ。


「納得してもらえたかな? とりあえず儀式自体はそんな感じで、まずは零士が血の結晶を作らないことには始まらない」

「それってどれくらいで作れるものなんですか?」

 愛良が聞くと、田神先生は少し考えながら答える。


「人によって差はあるけれど、大体ひと月くらいだと思ってもらえればいい」

「ひと月……」


 どうやって作るかなんて想像もつかないけれど、それなりに時間がかかるらしい。


「それで、そのひと月の間は愛良さんは特に気を付けて欲しい」

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