【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 田神先生の言葉に神妙に「はい」と返事をしてから、私は空気を少し和ませる気持ちで軽く思ったことを言ってみた。


「でもつきっきりって、女子寮に田神先生は入れないですし流石に無理ですよね?」

 と笑って見せる。

 それもそうだな、と言われて終わると思っていたこの話題。

 でも、地雷が隠れていたみたいだ。


 あごに軽く人差し指をそえて考えるそぶりを見せた田神先生は、妖しく流し目をして私を見つめた。

「っ⁉」

「それなら俺の家にくるか? そうすればつきっきりで守れるぞ?」

「っっっ⁉」


 妖艶な眼差し。
 その言葉。

 そして以前田神先生の家に行った時のことを思い出してしまったせいで、私の脳はボンッと破裂したかと思った。

「全く、可愛い反応をする。……本当にそうしようか?」

「い、いいいいいえ! それはそれで問題がありそうな……!」

 顔を真っ赤にしてテンパる。


 無理です先生!

 その色気は私には強すぎます!


 田神先生の顔を直視するのも辛くなって目をそらすと、もらい赤面している愛良が「ひゃー」と言っていた。


 だよね⁉

 零士っていう決まった相手がいてもそんな反応しちゃうよね⁉


「そうか? 残念だな」

 本気で残念に思っている様に言うからまた(たち)が悪い。


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