【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 浪岡君達は護衛を総括していた田神先生を巻き込んで了承を得てしまった。

 田神先生いわく。


「俺も“先生”の枠組みから中々出られていないように感じたからな」

 とのこと。


 つまり、最初の三人と田神先生との四人とそれぞれデートすることになってしまった。

 どういう感じでデートするのかも分からないけれど、私の気持ちも育ってないのにそういうことばかりされてちょっと疲れてきた。


 だから、関係ない人にちょっと愚痴ったんだけれど……。


 まさか更におかしな事になるとは思わなかった。

***

 息を吸って、お腹の中心に力を込める。

 あとは教えられた型の通り動くだけ。

「はっ!」

 勢いよく、それでいて力み過ぎずに出来たと思った。


 でも……。


「どうした? 今日はいつもと違って覇気がないな」

 鬼塚先輩にはそう言われてしまった。

「……そう、見えますか?」


 確かにデートのこととかを考えると憂鬱(ゆううつ)で、ため息ばかりをつきたくなる。

 でも表に出すようなことはしていないつもりだったんだけど……。


「はぁ……ちょっと来い」

 重めに息を吐いた鬼塚先輩は、ついてこいとあごで示した。

 黙って付いて行くと外に出るドアの方に向かう。


「鬼塚先輩、外に出るのは……」

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