【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 結局のところ、私が誰か一人を選ばないと終わらない問題なんだ。


「……でも誰を選べば……」

 呟きながら考えてみる。


 多分一番意識している相手は田神先生。

 “先生”というのがネックで、私の方がなかなか一歩踏み出せないけれど……。

 でも多分、“先生”じゃなければ普通に意識はしていたと思う。

 実際初めて男の人だと感じたのは、先生の家で私服姿を見たときだったから。

 でも結局学校で“先生”として会ってしまうと男の人とは見れなくなって……。

 その繰り返しが逆に疲れるだけになってる気がする。


 そんな風に悩んでいると、鬼塚先輩がポツリと呟いた。

「別に、絶対あいつらから選ばなきゃならないわけじゃないだろ」

「え?」

「愛良の方はあいつの安全を考えてってことで上層部が相手を決めちまってて、でもとりあえずその中からちゃんと選べたから良いだろうよ」

 でもな、とムスッとした顔で彼は続けた。


「お前のことは上層部も意見割れてるって聞いた。元々“花嫁”はハンターが守ってきた存在だ。まあ、吸血鬼に奪われることもよくあったらしいけど……」

 そう言えば弓月先輩もそんなことを言っていたな、と思う。

 “花嫁”はハンターが守るものだとかって。


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