【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「まあ否定はしないわね。でも決まっちゃったんだからやるしかないでしょう。護衛の調整とか、今からやるわけにもいかないでしょ?」

「うっ」


 その通りだった。

 一番心苦しいと思っていたのはそのことなので、今からさらに迷惑をかけるわけにはいかない。


「それにいくら何でも時間中ずっとアピールされ続けるわけじゃないでしょ? 買い物したり、ごはん食べたりするんだから」

「まあ、そうだよね……」

「案外楽しめるかもしれないでしょ? 気負わずに行きなさいよ。浪岡君達だって聖良に嫌々デートして欲しいわけじゃないでしょ?」

「そう、だね……」


 私も別に浪岡君達が嫌いなわけじゃない。

 ただちょっと、気持ちに応えられないのが心苦しくなってるだけ。


 だからと言ってはじめから嫌々な態度は良くないよね。


「うん。とりあえず、楽しむつもりで行ってみるよ」

「そうそう」

 笑顔で背中を押されて、私はやっと気持ちを切り替えることが出来た。


 嘉輪に相談出来て良かった。

 私自身の気持ちの問題もあるけど、あのまま待ち合わせ場所に行ってたら浪岡君に嫌な思いさせてしまうもんね。


 そうして待ち合わせ場所であるデパート前の公園についた。

「浪岡君、お待たせ」

 すぐに浪岡君の姿を見つけた私は小走りで近づく。

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