【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 何かアピールされまくるんじゃないかとデート前に身構えていた私はちょっとホッとしたんだ。

 でも、そんな私の考えは見透かされてたんだってランチのときに知った。


 パスタ専門店でキノコの和風スパゲティをくるくるフォークにからませていると、浪岡君が何でもないことのように話す。

「やっぱり僕のことは男として見れませんか?」

 責めているわけでも、悲しそうに落ち込んでいるわけでもない。
 ただ事実確認のように聞かれた。


「……うん、ごめんね」

 答えを迷ったけれど、ここで曖昧なことを言う方が(こく)だろう。
 そう思って事実を口にする。

「謝らないでください。……別に僕のことが嫌いなわけではないんでしょう?」

「それはもちろん!」

 そこだけはハッキリ言っておく。


 男として見れなくても弟みたいには思ってる可愛い後輩だ。

 私や愛良のことを守ろうとしてくれているし、前の学校にいたときから護衛としてお世話になってる。

 嫌いになんてなるわけがない。


「じゃあこの際なので、僕のことどう思ってるか色々聞かせてください」

 そう言ってニッコリ笑った顔はなぜか少し黒く見えて……。

「う、うん」

 拒否する理由もなかった私はそう返事をした。


 そうして、もう本当に事細かな部分まで質問される羽目になった。

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