【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 弟のようにと言うけれど、本当の血のつながった弟のようになのかとか。

 浪岡君にしてもらったことで嬉しかったことだとか。

 逆に嫌だと思ったことだとか。


 本当に色々。


「うーん、もういい? 流石に疲れてきたんだけれど」

 デザートも食べ終わり、質問に答えるのも大変になってきた。

 浪岡君に対してキュンとしたことあるかなんて、もう分からないよ。


「あはは、すみません。でも色々聞けて良かったです」

 浪岡君はそう言って質問攻めを終えてくれた。


「そっか、なら良かった。……本当は何か色々とアピールされるんだと思ってたから、ちょっと驚いたよ」

 まさかこういう質問攻めで来るとは思いもしなかった、と話す。


 すると、浪岡君は困り笑顔で口を開いた。

「色々アピールしようと思ってましたが、聖良先輩の負担になりそうだったので……」

「っ……そっか……」


 はじめから見抜かれてたんだね。

 申し訳ない気持ちもあるけれど、私のことを思ってアピールするのを諦めてくれたその優しさに胸が温かくなった。


 浪岡君のことは異性としては見れない。

 でも、可愛い後輩で……一人の人間として好きだなぁって思った。

 あ、人間じゃなくて吸血鬼だけど。

 そんな浪岡君に少しでも何か応えてあげたいと思う。

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