【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 彼に恋をするのは無理でも、彼の望むことに対して少しでも応えてあげたいって。


 だから、ふと思いついたことを口にしてみた。


「あ、じゃあさっきの質問の答えくらいは話すよ」

「え? 僕にキュンとしたことがあるかって質問ですか?」

 答えが返ってくるとは思わなかったんだろう。
 浪岡君はちょっと本気でビックリしていた。

 それもそうだ。
 さっきさんざん悩んでも出てこなかった答えなんだから。


「うん。ちょっと思い出したから……」

 でも、キュンとしたってことになるのかな、あれ。


 そう思いつつも私は話し出した。


「今日待ち合わせ場所についたときさ、浪岡君私を見て嬉しそうに笑ってくれたでしょ? あのとき実はちょっとドキッとしたんだ」

 キュンとしたってのとは違うかもしれないけれど、と一応付け加えておく。


「そう、なんですか?」

 少し驚いた風の浪岡君はそのまま顎に指を当てて何かを考えるそぶりをする。

 私はまだ少し残っていた飲み物を飲みながら、浪岡君の様子を見ていた。


 少しして視線を上げた彼は、私と目を合わせるとニッコリと笑う。

 その顔は純粋に可愛いとは思えないような笑い方で……。


「分かりました。これからはそういう方向でアピールしていきますね」

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