【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 良く分からないけれど、そんな風に宣言されてしまった。


 ……あれ?
 もしかして私余計なこと言っちゃったのかな?


 自分の首を絞めたような気分になって、私はゴクリと唾を飲み込んだ。


***


 何はともあれ、浪岡君とのデートはこれでおしまい。

 食事を終えてレストランから出ると、次の相手である俊君が待っていた。


「聖良先輩、お疲れ様です。ここからは俺と交代ですからね」

 そう告げると、浪岡君とつないでいた手をやんわりと外され今度は俊君と手をつながれた。

 しかもこのつなぎ方は……。


「俊先輩⁉ それはずるいんじゃないですか?」

 私が何か言う前に浪岡君が反応する。

 でも俊君は飄々(ひょうひょう)とそれを受け流した。


「ずるい? 今からは俺と聖良先輩の時間なんだから、将成には関係ないことだろ?」

「っ! で、でも聖良先輩だって嫌がってるんじゃないんですか?」

「そうかな? どうですか? 先輩」

 俊君はそう言いながらつないだ手の指をさらに絡ませてくる。


「っ!」

 その指の動きが何だか妖しくて、答える前に息を詰まらせた。

 だって、俊君はいわゆる恋人つなぎをしていたんだから。

 私は自分がどんな顔をしているのか良く分からなかった。
 変な顔してるってことは確実だけれど……。


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