【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「嫌って言うか……とにかく恥ずかしいんだけど……」

 正直に告げると、俊君はニッコリと笑う。

「じゃ、大丈夫ですよね? このままでも」

 そうしてその恋人つなぎのままで歩き出そうとするから流石に慌てた。


 恥ずかしい=やめてって意味で言ったつもりだったけど、ハッキリ言わないのをいいことにそのままでいようとするなんて!

 いつも以上に強引な俊君に、久々に文句を言いたくなる。


「ちょっ、待っ! 恥ずかしいから離して!」

 とにかく言わないとやめてくれないと思ってハッキリ告げた。


「そうですか? 残念」

 悪びれなくおどけて言う俊君に、前の学校で鈴木君に告白されたときのことを思い出す。


 あのときも私の意見なんて関係なく思わせぶりな態度を取ったりして。
 そのせいで次の日は朝から散々だった。


 そうだった!

 俊君ってこういう人だったよ!


 城山学園に来てからは直接的な関わり合いが少なくなったのもあったし、周囲の目もあるからなのか大人しくなってたけど。

 俊君って、ちょっとチャラめでへらへらしてる人だった。

 そして、腰を抱いたりして距離が近い人。


 一時期私が男の人を怖がるようになってたから控えてたのかな?


「じゃあ普通のつなぎ方なら良いですよね?」

 と、指を外して普通のつなぎ方で握られる。
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