【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「……まあ、それなら」
色々と文句を言いたかったけれど、とにかく恋人つなぎを止めてくれるならと吞み込んだ。
ずっとここで問答しているわけにもいかないし、浪岡君もムスッとしつつ納得したしね。
……でも、俊君とのデートは疲れそうだな。
と、内心ため息をつきたくなった。
……けれど。
「聖良先輩、ここのスイーツ可愛いですよ?」
「あ、本当だ。動物の形してる」
「あ、でもみんなで食べるなら分けてシェア出来るものの方が良いですか?」
「うーん、でも可愛いのも捨てがたいよ」
と、普通に楽しく買い物をしていた。
「愛良ちゃんにお土産でも買っていきませんか?」
という俊君の提案の元こうして色々物色している。
「でもどうしてスイーツ系? なんか迷いなくこのエリアに来たけど……?」
ふと疑問に思って聞いてみると。
「聖良先輩、俺達の相手して疲れちゃうでしょ? 帰ったら愛良ちゃんと甘いものでも食べて疲れを癒してください」
「……」
浪岡君にも見透かされていたけれど、俊君にも見透かされてたみたいだ。
申し訳ないと思うと同時に、さりげない気遣いに胸がキュッとなる。
へらへらと笑う様子も、私に気を遣わせないためのものに見えてくる。
異性として。