【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 でも、そうと知られてしまったなら早めにハッキリした方が良いのかもしれない。


 そう覚悟して、私は口を開いた。

「俊君、あのね――」
「ストップ!」

 でも止められてしまう。


「まず俺の話を聞いてください」

 弱々しい微笑みでそう願われて、私は黙るしかなかった。


「俺と将成のことは本当に恋愛対象外なんですよね。せまったりしても困った表情がほとんどだし……多分聖良先輩の中では年下は守るものって意識が強いんじゃないですか?」

「……うん、多分そう」


 ずっと愛良を守ってきた。

 小学生の頃なんかはその延長で自分より年下の子たちを世話してたから、愛良の同級生にはみんなのお姉ちゃんって呼ばれてた。

 そのせいか、年下に対してはお姉さんでいなきゃって無意識に思ってそういう風に行動していると思う。

「それが分かっちゃったらもうなんかどうしよもないのかなって……」

「俊君……」
 そのままごめんと謝りそうになる。

「謝らないでくださいね?」
 でも、また先に止められた。

「謝られても、フラれても、簡単に諦め切れるような気持ちじゃ無いんです」
「……」

 改めて言われると重く感じる。
 でも、軽く考えちゃいけないことなんだ。


「だからお願いです、聖良先輩。誰か一人を決めるまでは、好きでいさせて下さい」

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