【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 この後田神先生とどう向き合うべきかソワソワする気持ちはあるけれど、とりあえずなるようにしかならないでしょ、と開き直るくらいには成れた。

 だから「お待たせ」と言って私の分のハンバーガーセットも持ってきてくれた忍野君の顔を見て「ありがとう」とちゃんと言える。


 それにお腹が空いていたせいもあったみたい。

 一口食べて美味しいと思ったとたん、元気が湧いてきた。

「んー! やっぱり人間の食べ物が一番だよな!」

 よっぽどお腹が空いていたのか、おかしなことを言う忍野君。

 元気が出てきた私は、笑ってそれを突っ込んだ。


「人間の食べ物って……忍野君面白い言い方するね。確かに美味しいけどさ」

 そう言ってまた一口食べようとすると、「あー……」と忍野君は視線をさ迷わせた。


「どうしたの?」
「あ、いや、なんでも……」
「いや、気になるから」

 気になるような態度をしておいてなんでもないは通用しないでしょう。

 ジッと見る私に観念したのか、忍野君はハンバーガーをもう一口食べてから話し出した。


「……今朝さ、俺具合悪そうだっただろ?」
「うん」

 どうしてそこから話が始まるのか分からなかったけれど、とりあえず頷いて聞く。

「今日の朝はさ、血液パック飲んできたんだ」
「血液パック……」

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