【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「三分の一抜く前にショック死することもあるし、境目を間違えば中途半端な存在になってしまうとか。色々リスクがあるらしいからな。好き好んではやらねぇだろ」

「じゃ、じゃあどういう場合に人間を吸血鬼にするの?」

 何だかちょっと怖くなって、具体的な例が欲しかった。
 自分がそうならなくて済むように。


「そりゃあたまたま死にかけたやつが目の前にいて、本人に吸血鬼になってでも生きたいかって聞いてからだろ」

 それ以外で吸血鬼になったって話はあまり聞かないな、と残りのハンバーガーを大きな口で食べながら言う忍野君。

 それを聞いて安心した私も、自分のハンバーガーを口に運んだ。


 つまり死にかけなければ吸血鬼になるなんてことにはならないってことだ。



 まあ、そんな状況でもなければ、吸血鬼になる覚悟なんてつかないだろうしね。

 そう納得しながら私たちは昼食を終えた。

***

 そして、午後の田神先生とのデートの時間になる。


 うう……どんな顔して会えばいいんだろ。


 昼食をはさんで多少緊張はほぐれたけれど、今恋の相手として一番考えられる人だ。

 知らなかったら彼のアピールに照れてあたふたしながらも、先生だからと一線を越えずにすんだ。

 でも気づいてしまった。
< 414 / 741 >

この作品をシェア

pagetop