【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 だから私や愛良に近付いて来るH生はそういう古い家の人達が多いんだって。

 鬼塚先輩もその一人らしい。


 そうして結果的に私達に接触するH生がかたよっているから、仲が悪いように見えるだけなんだとか。


「まあ、この学園で恋人同士になる吸血鬼とハンターも出てきてるからそのうちVH生も増えるだろうし。そうなれば吸血鬼とハンターの確執もかなりなくなってくるはずよ」

 そのために作られた学園だしね、と付け加えながら嘉輪は言っていた。


 それらの事情を聞いたこともあって、私は弓月先輩の意気込みを否定することはしなかった。

「ケガだけはしない様に気を付けてくださいね?」

 弓月先輩の意気込んだ様子に、力み過ぎてしなくていいケガとかをしそうな人もいそう。
 そう思って笑顔を向けながら頼んだ。


 別に私は弓月先輩達が嫌いなわけではないし。

 ただちょっと、嘉輪への態度をもっと優しくして欲しいなと思うだけで。

 二人の仲は私が初めに思ったよりは悪くなかったけれど、やっぱり少し溝のようなものを感じるから。

 なかなか難しい問題だから、私の方から何かを言うことは出来ないけれど。


 そんなことを考えながら私は鬼塚先輩との待ち合わせ場所へ向かった。

***

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