【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 みんなと同じ待ち合わせ場所であるデパート前の公園につくと、鬼塚先輩が他の護衛の人達と話をしているところだった。

「お待たせ。どうしたの? 何か問題でもあった?」

 私より先に弓月先輩がそのことに反応して聞く。


「ああ、大丈夫だよ。一人所定の配置になかなか来ないって報告を受けてたんだが、今ちゃんと来たって報告が上がったから」

 鬼塚先輩は笑ってそう報告をしてくれて、他の護衛達を帰していた。

「そう? じゃあ、ここからは貴方が聖良さんをお願いね」

 そんなやり取りをして私は鬼塚先輩に引き渡され、弓月先輩もこの場からいなくなってしまう。


「えっと、今日はよろしくお願いします」

 二人きりになって、挨拶と共にそう言ってペコリと頭を下げた。

「ああ、こっちこそよろしく頼むな」

 鬼塚先輩はそう言って左手を差し出す。

 私はその手を見て数秒止まってしまった。


「……えっと、この手は?」

 なんとなく分かってはいたけれど、一応聞いてみる。


「そりゃあ、手をつなぐための手だけど?」
「え? つなぐんですか?」

 デートとは名ばかりと思っていた私は驚いた。
 でも。

「まあ、一応名目はデートだし。それにしっかりつかまえていた方が離れる心配も少ないだろ?」

< 428 / 741 >

この作品をシェア

pagetop