【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
 と、あくまで護衛のための手段だと言う彼にそれ以上突っ込むのも意味がない気がして、私は諦めの心境でその手を取った。


「さてと、じゃあ無難にゲーセンでも行ってパーッと遊ぶか」

 そんな気軽な言葉に思わず笑う。

「それ、鬼塚先輩が遊びたいだけなんじゃないですか?」

 なんて、同じく気軽な気持ちで聞いてみた。

「はは、バレたか」


 そんなやり取りで少し残っていた緊張感をほぐした私達は、鬼塚先輩の言う通りにゲームセンターでパーッと遊んだ。

 カートのゲームや音楽ゲームで勝負をしたり、UFOキャッチャーで大物を狙って失敗したり。
 デートだとか護衛のシュミレーションだとかも忘れるくらい笑った。

 おかげで、私がみんなの気持ちに応えられないことだとか、田神さんへの気持ちはどんなものなのかとか。
 それと最近見る夢の岸のことだとか。

 そんな色んな悩みを一時忘れることが出来た。

「久しぶりに本気で遊んだな」

 そう言いながらハンバーガーにかぶりつく鬼塚先輩。

 ゲームセンターで結構お金を使ってしまったようで、金欠だからとハンバーガーショップでお昼を食べることになった。


「そうですね。私もこれだけ遊んだのは久しぶりです」

 そう返事をして「でも」と付け加える。

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