【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。
「それでお金なくなったって言うなら、私の昼食まで奢ってくれなくていいんですよ?」

 そう、金欠だと言うわりに昼食は奢るからとお金を払わせてもらえなかった。
 今日は本当に楽しめたし、そこまでしてもらわなくても良いのにと思う。

「良いんだよ。デートでワリカンとかカッコ悪いだろ? 俺にカッコつけさせてくれよ」

 そう言って微笑む鬼塚先輩はカッコ良かった。
 でも。

「つっても、奢るのがハンバーガーって時点でカッコつかないけどな」
 と苦笑いする。

「良いですよ、私もハンバーガー好きですし」


 そんな楽しい雰囲気で昼食も終える。

 午後もこんな風に楽しく終われるといいな、と思いながらハンバーガーショップを出ると、朝に見たH生の護衛の人達が近付いてきた。


「おい、どうしたんだ? 護衛がそう頻繁に配置から離れたらダメだろ」

 鬼塚先輩はそう言いながらも彼らから話を聞く姿勢になった。


「悪い、でも杉村がおかしいんだ。突然立てなくなって、お前のこと呼んでるんだよ」

「は? 何だそれ?」

「なんか、お前に伝えないとってうわごとのように言っててさ、意識はあるんだが様子がおかしくて……」

「……分かった。俺が向かった方が良いんだよな?」

「ああ、助かる。“花嫁”の護衛は彼女に頼むから」

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